18歳
超氷河期と言われた年代に高校を卒業して就職した。
就職先は、東京の床屋さん
住み込みで働く。手取りは4万あったかどうか
月曜日だけ休み
朝は朝練があるから6時には電車
夜は夜練があって22時まで練習
日中は職場でシャンプーや髭剃りやドライヤー
吉祥寺や府中の駅前でチラシを配ったり、応援にいったりした。
まだ、何をして生きてくのかも全くわからない電車の中で
目の前に座っていたオバサンが話しかけてきた。
何処に行くの?から始まって
就職の為に実家を後にしていると話したら、
「あらそう! なんだか苦労してなさそうなお顔をしてるからがんばるのよぉ~」
っと・・・
えっ? 苦労? その台詞をお返ししたい。
私の故郷に対する旅愁や恋慕より寂しさより
オバサンの親切心の頑張るのよぉ~が
何よりも心を意地悪く染めまして。
「継母に育てられ、やっと家から出れて嬉しいです。」
と答えてやった。
そのオバサンは気まずそうに、電車を下りて行きました。
色々、あった実家でした。
よく生きて出られたと思っています。
でも、大切に3食食べさせて貰い
清潔な洋服を用意してもらいました。
電車の中でオバサンが降りたあと、暫く静かに泣いていました。